昔組み立てたブランコの上から、文字を綴ってみます。
所々剥がれ落ちている塗装を見ると、ブランコもまた自然な樹木のように経年変化をしているなと感じます。
ブラックベリーの葉が、座板の部分にまで這入ってきていて、ここでも時の流れを感じます。『森の鞦韆』という物語の着想が少しだけ頭の中に浮かびました。(実際にはまだ存在していませんが…)
(※鞦韆(しゅうせん):ブランコ)
煙のにおいが風に乗ってこちらに来ました。辺りは田園ということもあり、そうした頃合いなんでしょう。
揺れる木々の葉と葉が僅かに擦れる音から、どこからともなく聞こえてくる鳥の囀りから、そして今確かにブランコを運動させている自分の力動から、次第に、そして確かな自分の「being」を感じます。
(※擦れる:こすれる
囀り:さえずり
being:自分が今、その場に存在していること )
病によって疎外された自我が、和の精神で柔らかな輪郭を帯びていくのを祈りながら
静かにブランコを動かしていた昼の事。