The UNIVERSE of an IMAGINATION -ベンジャミン・リー展

表参道の「spiral」という施設で開催中(6/15-6/27)のベンジャミン・リーの写真展に行ってきました。

ベンジャミン・リー

ベンジャミン・リーは日本を拠点として活動しており、アーティストや文化人のポートレート写真で有名だそうです。

フォトグラファーについてそう明るくない私は恥ずかしながら名を存じ上げませんでしたが、写真を見てみると、草間彌生、坂本龍一、川久保玲、村上春樹らと、なんとも贅沢なラインナップ。

入ってすぐに、これでもかという程に巨匠達が並ぶ。

入ってすぐのところに、日本から世界へ羽ばたいたアーティスト、作家などのモノクロ写真がこれ以上なく豪華に並んでいました。

作品たち

今回の展示は写真撮影OKだったので、写真と共に振り返っていきます。

(写真の用語はそう詳しくないので上手いことは言えないと思います)

・川久保玲

縦に長い、光の効果と奥行きを感じさせる写真。

空間をうまく使った立体的な構成。

体躯の前半分が見えており、表情は静観な様子です。

何か具体的な物を見ているというよりは、非即物的な表象を直観しているような目をしているようにも見えました。

・植村 秀

手で目の周りを囲うことで、目にフォーカスが向くような、深みのある眼光の鋭さを感じる写真でした。

主観と客観のジレンマ

また、写真群の端には批評が掲載されており、読むとハッとさせられるようなものでした。

一応写真も載せておきますが、以下で抜粋します。

印象に残った言葉は、「アーティストは、自分の才能を信じている一方で、慢性的な不安と強迫観念に駆られている。」というところ。

確かに、自分を信じなければそもそも活動のエネルギーは湧いてきません。しかし、どこか行き場のない不安もまた消えることはなく、そんな不安定性の中を生きている、アーティストとはそのような生き物なのかもしれません。

(※余談ですが、↑の記述はエニアグラムという性格類型のタイプ4の特徴ともほぼ一致するため、タイプ4が芸術家気質と言われることも納得がいくなと思いました。)

また、それに関連する形でもう一つ抜粋したいとおと思います。

「自身がどのような形で歴史に残るかという客観的な事実」と「自分がどのような形で歴史に残りたいかという主観的な願望」には必ず差がある。

というところです。

主観的な願望と、客観的なジャッジが完全に符合することは、まあないと思います。

それ故に、主客の狭間で揺れ動き、純粋表現とビジネスのジレンマに駆られずにはいられないような、そんな難しい主体なのだと思いました。

ベンジャミン・リーは、そんな繊細で複雑な心を宿したアーティストの表情の機微を、丁寧に、掬い取るようにシャッターで捉えているようなところを(勝手に)感じました。

「静観な表情の裡には、複雑に絡み合った難しい精神らが内在しているんだ。」と、文章を読んだ後に写真を見ると、そんな洞察がより色濃くなりました。

ハレークイン・プロジェクト

ハレークイン・プロジェクト

奥へ進むと、シュールレアリスム調の展示や、ハレークイン・プロジェクト、という三次元の展示もされていました。

マグリットの大家族など

スロープを登りながらも、大きな写真を眺めることができ、「spiral」という空間がとてもよく生きていると感じました。

壁面の、高い天井を生かした、大きな写真

スロープを抜けると、2Fには雑貨屋の「spiral market」があるのですが、ここを抜けた先に、本展示のラストを見ることができます。

言葉だとわかりにくいですが、一方通行で円を描くように一周しながら展示を回っていくような構成になっています。

草間彌生

最後は草間彌生やピカソの大規模なシルクスクリーンなどが並んでいます。

↑草間彌生の中だと、この色が一番好みでした笑

なんだか、海外の展示に来たような気持ちになりました。

NYを彷彿とさせるような、ポップでハイコントラストで、直線的でひらけた空間は、なんとも開放感がありました。

また、ベンジャミン・リーは本展に際して、以下のようなコメントをしています。

いまだ芸術写真にふれる機会があまり多いとは言えない日本で、今回の写真展『The UNIVERSE of an IMAGINATION』が、日本人や日本に住む外国の方々がアートフォトや芸術を身近に感じるきっかけになればと考えています」

https://kyodonewsprwire.jp/release/202104153745 より抜粋)

まさしく、そう多く写真に触れているわけでない私でも、写真のパワー、アーティストの繊細な表情を捉える感覚の機微に触れられたようにも思います。

ふとした気持ちで入った写真展でしたが、感じたところは多く、来てよかったなと思いました。

本展示は、今年の4/30までのクラウドファウンディングの寄与も大きく、無料で開催しています。

また、次のクラウドファンディング の『写真家ベンジャミン・リー写真展開催へ、今こそアートで繋がりたい!』(https://readyfor.jp/projects/Benjamin_Lee)も開始したそうです。

展示の期間はもうすぐ終わりですが、ご興味あれば是非足をお運び頂ければと思います。

fin.

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