rhizomatiks展 -後半-

ライゾマティクス展 後半編。

後半はモニター展示、ドローンなどの工学展示、球体と光の作品、本展示のアルゴリズム公開 だった。

4.「Rhizomatiks Archive & Behind the scene」:各活動の動画、工学(ドローン、回路)、服の展示

①試行錯誤

「偶然の成功よりも、失敗の原因を知りたい」というフレーズが印象的だった。

失敗には、原因がある。因果の尾を掴めば演繹して前進できる。

その原因から模索していき、泥臭くも、人を豊かにしたり、また美的なものを与えたりしていて、その姿勢も結果物も素晴らしいと感じた。

展示では、結果物だけが置いてあることも多いと思うが、今回は「最初は模索状態で、とにかくやってみるしかなかった」というような黎明の段階から道程を辿ることができて感銘を受けた。

②感覚の電気信号、表情筋への命令

表情筋の動きを電気信号化し、その集積した信号を、今度は人体に送る。そうすると、トップダウン的に表情を作ることができる。

「Aさんの表情の動きを、Bさんにコピーできるかな」という素朴な好奇心からはじまったプロジェクトだと言う。

率直な感想としては、

電気信号により意せずして表情が動く映像を見ていると、どこかゾッとした、感覚を擽(くすぐ)られるような気持ちになったが、

それでも、結構応用例は考えられて、例えば神経が麻痺している人や、表情を動かしにくい人、感情表現がうまくいかない人に使えば、近い将来、自然な表情の動きを獲得できるのではないかとも思った。

また、筋肉の動きを緻密にデジタル化することに成功すれば、「人間的な非人間」を作ることだってできるとも思った。別にクローン的なことを介さなくても、単純に人間が人間(的なもの)を作ることができる将来も近い。

改めて、これからの人間の定義についても考えさせられた。

③サーバ攻撃の、可視化、可聴化

世界地図と統計を駆使し、日々、いかにサーバー攻撃を受けているかを可視化しているもの。

情報発展国は特に、それが甚だしいということを目で見て実感した。パスワード群の羅列などを見て、こうやって情報が抜き取られていくのだなと、やはりここでも恐れを抱いた。感覚に直接的に訴えることで警鐘を鳴らし、情報リテラシーへの配慮を促進させるようなものでもあると思った。

④デジタル空間にて踊るダンサー

数年にわたる試行錯誤を経て、3次元の空間的な滑らかさ、または人間の〝動作〟の滑らかさをシームレスに写像し、出力することで、現実へ漸近するハイクオリティな映像を創り出している。バーチャルダンサーの動きはもちろん、海岸の岩肌の立体的な奥行きがリアルに再現されており、感動した。

また、朝昼晩の遷移もまたシームレスで美しい階層だった。

5.《particles 2021》:八の字にて流転する球体

こちらも精密。物理法則により自然に流れていく球体を、正確に光が捉える。写し方を、選択する。

「有」のリズムで光のバリエーションも広がる。多くの人が幼い頃に、ショッピングセンターなどでこうした球体運動を夢中で見たことはあるだろう。今回はそれを久々に思い出したし、また光との饗宴を実現させた新しい、洗練された形だった。音や光が激しいので、過敏な方はご留意。

6.「Epilogue」:ソフトウェア設計の公開

「種明かし」とも言えるようなエピローグ。本展のコード、ソフトウェアの設計が公開されていた。高い解像度で、本展の裏側を垣間見た気分だった。

また、解析カメラにより我々もデータとして情報を取られていたということを知り、驚いた。この展示の中だけでなく、近い将来には外を歩いていても解析されずにはいられなくなると確信した。付随して、プライバシーについての法整備についても考えさせられた。

7.総括

機械学習、工学、テクノロジーのこれからを肌で実感した。

我々という対象も、機械により常に〝解析〟されていることを可視的に認知して、畏服と可能性が混交した複雑な心境になった。

刺激を受けずにはいられない、世界のこれからについて考えさせられるようなインパクト大の展示であった。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ad
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ad
スポンサーリンク